私が幼いころ、祖母が寝物語によく聞かせてくれた話です。
巧みな話し方もあって、幼い心には、幽霊に追われる男の子の恐怖が、生々しく頭の中にひろがり、祖母の手をしっかり握りながら聞いたものです。
「もう一段上がって休もうかい」という幽霊のセリフは、今でも強烈な印象で心に残っています。
つかまるな、つかまるなと祈りながらしっかり布団をかぶり、夢中になって聞きました。
そして、それまで恐ろしい口調で話していた祖母が、最後のところで、急に明るい声になり『ピョーンと飛びおりたら……夢だったと』と話を締めくくると、怖さは、いっぺんに吹き飛び、『よかった-』といって、安心して深い眠りにつくのです。
栗原のあの松の木、あの家のたき木小屋をその話とだぶらせ、心をふくらませもしました。
今はもうその祖母も他界しました。
今回の昔話づくりという機会に巡り合い、祖母を懐かしく思い出しながらペンをとりました。
・保護者A